あのオレンジの光の先へ

何気ない毎日を君色に

もしもし

 

今日は……

わたしの大切な家族のお誕生日でした

 

残念ながら

一緒には住んでいないので…

お誕生日ケーキも一緒に食べれないんですが。

 

洋服がお洒落で

頭がよくて綺麗な人でした

 

美人でスタイルも良くて

いつも凛として。

 

カッコいい女性

 

強く生きて

私を育ててくれました

 

 

離れた住処で…

 

時々着て欲しい洋服を

想像しながら。

私セレクトの服を買って。

 

大切なプレゼントだけど

タグを切り

せっかくのお洒落な洋服の白いところ探し

油性マジックで名前を書く

 

誰かと間違われる可能性を

避けるために

温かい靴下の底にも名前

 

「お誕生日おめでとう!」

 

そう言いながら

ちょっと早めのクリスマス包装の

袋を渡すと嬉しそうに

「ありがとう」と笑顔を見せてくれた

 

でも。

 

プレゼントなんか

想像通り興味ないみたい(笑)

 

手をずっとずっと

握って離してくれなかった……。

 

柔らかくて

綺麗な白い手にさすられ

「冷たい手!」という顔が

なんかちょっと悲しくて。

 

離すタイミングを失いながら

その手を離し、…

私は買ってきた洋服を車椅子の上に置いた

 

「長い間働いてすごいね。

尊敬してるよ」と…いうと

「仕事しか取り得ないから」

と言いながら笑っていたけれど。

 

私はその立派な姿に憧れ

ここまでこの仕事をやってきた

 

「帰るね」

って言うと前は寂しそうだったのに

今日は「はーい」と言って

すぐ手を離される

 

それが哀しくなる

いつも。

 

病気の大きさなんだ。 それが。

 

「バイバイ」

「ばいばい!」

 

淋しいから

私は最後にいつも言ってしまう言葉

 

「行って来ます」

「行ってらっしゃい!」

 

時空があべこべな言葉も

もう寂しくはない

 

「明日、一緒にご飯食べるやろ?」

 

有りもしない約束が私にとって

救いだったりする

 

「普通」だったらの「普通」

 

それに一瞬触れる

 

ちょっと愛されてたことを

思い出したりして。